感動の実話

スイス、ル・ロックルにあるマニュファクチュール　ゼニス本社。（現在、世界遺産に登録）

シャルルベルモという人物が、設計部門で優れた多くのムーヴメント開発に携わっていました。ゼニスは世界最高の時計ムーヴを作成しようと5年の歳月を要し、

1969年、時計業界を激震させたムーヴメント【エルプリメロ】の誕生させました。

世界初の高振動自動巻きカレンダー搭載クロノグラフ。そして一体型！！

自動巻きムーヴメントにクロノグラフ機構をのせるというのが、一般的でした。当時では考えられないムーブメントなのです。

実は1969年は時計業界にとって歴史に残る重要な年。

クォーツショックが起こります。

腕時計は機械式時計しかなかった時代。常識を覆すクォーツを使った腕時計が発表されました。（セイコー社）

高精度、低コスト、ゼンマイを巻く手間がないなどメリットが大きく、後にクォーツ時計が主流となっていきます。

機械式時計の需要ダウン、スイスの時計業界は壊滅的打撃を受けることになり、

大半の機械式時計ブランドは姿を消すことになってしまいます。

ゼニスも苦境の中、シカゴの企業に売却され、全てクォーツムーブメントの開発へとシフトさせる決断を下されます。

しかし、シャルル・ベルモは親会社に、歳月をかけて発表したばかりのムーヴメントを捨ててしまうのは是非避けたいと説得し続けたが、無駄に終わり受け入れてはもらえなかったのです。工具や金型、機械や部品が廃棄処分となりました。

機械式時計、エルプリメロのことを信じていたシャルルベルモは、どうにか残したい思いで工場の屋根裏部屋に、エルプリメロ作成に必要な設計図から工具などを隠したのです。

当時は反対意見もあったはずですが、その行動がエルプリメロムーヴメントを守る英雄的行動になりました。

それから約10年経つ頃、無くなってしまったエル・プリメロは忘れ去られることはなく、人々の興味をそそり続け、話題になったのです。他社ブランドから依頼されたことをきっかけに、エルプリメロ生産を再開する話になりました。

ただ、消え去ったエルプリメロを復活させるには、また一から機械作成のための設計から金型などを用意しなければならない。多額の投資が必要と二の足を踏んでいたころ、、、

ベルモは、隠し持っていた宝物達を伝えることにしました。

エルプリメロ復活のときです！

完全に用済みとなっていたエルプリメロが、

ベルモの記録管理、製造過程の方法の説明書きのおかげで、完全に復活を遂げることができたのです。

シャルル・ベルモは本当に素晴らしい功績を残しました。

今日、世界最高の高振動クロノグラフ【エル・プリメロ】を作り続けているゼニス。

シャルル・ベルモという人物がいなかったら、エル・プリメロを復刻すること、皆さまが手にすることはできなかったのです。

ゼニスの歴史を感じる時計が多く誕生しています。ジュエリーパリでは1969年に発表された文字盤、屋根裏部屋に隠されていたA384など復刻モデルを多数展示。

是非お手にとり、エルプリメロをご覧いただけると嬉しいです。